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フランスで墨絵アトリエを開催、マダム達も白黒の世界が好きです。

ABOUT US
Uraraka
日本では多摩美術大学で日本画を学び、日本画の世界へ進みます。が日本画の伝統的な技法や画壇の体制に疑問を感じ日本からフランスへ移住します。 以後10年以上、フランスで作家活動を続けてきました。 ここで日本のアートを魅せたい、日本画の美しい岩絵具や和紙を使った侘び寂びなアートをフランス人に紹介しています。

リヨンにある漫画喫茶’kamonshoten-家紋書店’で墨絵のアトリエをやっています。
https://www.instagram.com/kamonshoten/

ここは日本の漫画が売っていて軽食のカレー、
うどん、おにぎりなどが食べられます。
私は水墨画をきちんと習ったことはないのですが、
ほぼ独学で勉強して説明しています。

画材は、日本から毎回水墨画用の和紙を沢山持ってきています、
参加者には書道用の小筆と文鎮、
下敷きなど一通りの道具は用意しています。

ここにフランス語で道具の名前を書きました。


日本画を一から教えるよりもずっと画材は少なく
済むのでとても助かります。

水墨画とは、日本画とは違い色はなく、墨の濃淡だけで
花鳥風月などを表現するもので写実的ですが、
構図などは自由に構成したりします。

また墨には青墨と茶墨があります、青墨は松の木を燃やして
煤にしたものに膠を混ぜて、固めたものが青墨
茶墨の方は菜種油を燃やして出来る煤に膠を入れて固めたもので、
微妙ですが色味が青と茶色で違いがあります。
作品に合わせてお好みで選んでください。

基本は墨汁を使います。

時間がある時は、硯と墨で擦る所も見せる様にしています。
墨を擦る作業はメディテーションと言って
心を無にして擦るので、墨の香りも立ち込めて集中力が上がる様です。

原液の墨汁はとても濃いので、先ずは3種類の濃淡を皿に作ります。

原液に倍ほどの水を加えたものと、
最後は3〜4倍薄めた物を作り
実際の水墨画紙で墨の濃さと滲み具合を確かめてもらいます。
紙の裏表も間違えない様に言います。

三墨法といって筆の穂先を3段階のグラデーションを作る、
と言う方法です。

そして竹の幹を一気に下から上へ引く、
一筆に濃淡のグラデーションが作ってあるので、
それが綺麗にでると、ちょっとテンション上がります。
次は葉、笹の葉の形の様に筆を長くゆっくり引っ張る。

生徒さんの中には構図の部分で余白を残したい、
と言っているマダムがいて、それをフランス語で言うと
”éspace vide parle plus de chose ”
余白の部分が物を言うという様な意味で
空間があるから黒が引き立つということを言っていました。

いい発見でした。日本の美意識

水墨画はやって見せるのが一番ですが、
フランス語でもっとわかりやすく説明できる様に
いつも単語や言い方を探しています。
参加してくれた方の中には若い男性もいたし、
日本語を勉強しているという人も水墨画に
興味を持ってくれたのでよかったです。

竹は、三墨法を身に付けるのにとてもいいモチーフでした。
でもそればかりでは飽きてしまうので、菊の花も。

菊の花では、節目描きをやってみる。
筆を置く時間差によって花びらや、鳥の羽を一本づつ描く技法です。
有名なのは伊藤若冲の作品で見られます。

日本画家 伊藤若冲とは

江戸時代の画家です。日本画も水墨画も両方で
この頃はまだ日本画という言葉は定着していなかった様です。

日本画の絹本につながる、絹の裏から彩色する裏彩色が
を得意な作家さん。
当時の日本画は現代の様に岩絵具の厚塗りや、
塗り重ねが少なく、支持体の紙にしても
水墨画とあまり差のない技法や画材を使っていました。

若冲の作品

筋目描きは簡単なのですが、うまくできるととても可愛らしいです。
またそこから茎と葉を加えると絵になります。

この写真は100均の半紙でやったら
きれいに筋目が出ました。
紙によって滲み方が違うので、安い紙でも上手く筋目が出来たので
ちょっとびっくりでした。ただ100均の半紙だと薄過ぎて
作品として保管はできませんが、、

因みに私が墨絵アトリエで使っている水墨画紙はこれ
梅という画仙紙です。薄過ぎず、しっかりとしていて
滲み方もきれいです。

因州紙
この紙はパリで買いました。産地は鳥取県だそうです。
サイズが半紙だったので書道用だと思っていましたが、
墨絵にも使えます。
半紙とは全紙を半分に切ったものなので半紙と言います。
小学校の頃に書道で使ったものです。