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フランスで日本画画材は手に入るのか?

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Uraraka
日本では多摩美術大学で日本画を学び、日本画の世界へ進みます。が日本画の伝統的な技法や画壇の体制に疑問を感じ日本からフランスへ移住します。 以後10年以上、フランスで作家活動を続けてきました。 ここで日本のアートを魅せたい、日本画の美しい岩絵具や和紙を使った侘び寂びなアートをフランス人に紹介しています。

私がフランスに来た当初は色々なことにびっくりしました。

まず、日本画を描く上で最初にやることは和紙を
木製パネルに水張りをすることですが、そのパネルが売っていません!!

ヨーロッパって、元を辿ると油絵とキャンバスの発祥の地ですね、
正確にはオランダだそうです。
私の周りのリヨンのアーティストも、
どちらかというと紙よりもキャンバスに油彩か、
現在では、アクリルで制作している作家さんもたくさんいます。

なのに何故、パネルに画用紙を水張りして描いたりしないんでしょうね?
不思議でした。私は良くフランス人にもアドバイスしますが、
和紙にしろ画用紙にしろパネルに水張りをするメリットは、
もしその絵が気に入らない、または描き直したいなど、
習作の段階の場合は、また切り離して作品のみを
保存する事ができるので、とても便利です。

写真は大型パネルですが、小さいサイズからあります。

こちらでいうLe marouflageは、パネルでもないただの一枚板に
画用紙をボンドで、貼り付けて一生取れないようにするので、
板の再利用にもならず、しかも板が厚ければ
展示をする時も結構重くなり、壁に穴を開ける、開けないなどで
なかなか展示しにくい作品になるので、展示の時は大変です。
なので木製パネルってとても便利ですよね?
残念ながらフランス人作家さん達は、使っていないようです。

そして和紙は、中々フランスでは手に入らないと思っていますが、
最近は結構和紙は流行っています。

フランスでも手漉き和紙を日本で習って、
フランスの材料で漉いていたりします。

エコ好きなフランス人は、和紙は環境にいいと思っている
みたいですが、日本ではちょっと違いますよね、

やっぱりアート作品を作る上では、日本画には
特になくてはならない素材なので、私は日本から買ってくるか、
日本の和紙を買えるオンラインショップがあるので
そこでどうしても足りない場合は買います。

日本の和紙屋さんとは違うので、サイズなどは
3×6とか5×7版などという表記はありません、

なので大作を作るときはお勧めしません。

あとはドーサが引いてあるか否かは要確認した方がいいです。

参考までにそのフランスの和紙屋さんのサイトを貼っておきます。

https://les-papiers-de-lucas.com/fr/

では次はどの和紙を、日本画では使ったらいいかですが、
色々あります、鳥の子紙 麻紙 楮紙 雲肌麻紙 雁皮紙 三椏紙 etc…

まず小品を描く場合は、鳥の子などの割と安価で
色が黄色っぽい和紙を使います。
こちらは結構な割合でパルプつまり再利用される
繊維が入っているので安いのです。

制作工程で絵具を洗ったり、厚塗りしたりには
向かないので大作を作る場合は避けましょう。

麻紙はその名の通り麻の葉から作られます、
楮紙 kozo フランスでもpapier muriere 
と言って桑の実がそのフルーツとして売っていますが
見た目は全く違う木です。

左がフランスの桑の実で、右が楮紙に使われている木、なる実も少し違いますね。

植物は何百、何千と種類があるので
同じ学術名に属していても見た目は全く違います。

楮紙はとても繊維が長く、日本画制作には向いています。

雲肌麻紙は、楮と麻のミックスで作られている和紙です。
私は、150号の作品を作る時はこの紙を使いました。
雲のようにもくもくした繊維が見え、美しい紙です。

雁皮紙です、日本でもこの木の生産は
どんどん減っているのでとても高価です、
見た目は、てかてかとしていて私は数回しか
日本画に使ったことはありません。厚塗りと言うよりも、
薄塗りで仕上げたい人向きだと思います。

和紙については、自分がどんな技法を使うのか、
厚塗りか薄塗りか、また和紙の下地を覗かせる仕上がりにしたり、
日本画画材は全部揃えるとかなり不経済なので、
初めは一番安い紙から試すのがいいかと思います。

最後に日本の和紙専門店のリンクです、
まるで紙博物館の様、是非行ってみてください、
オンラインショップもあります。

https://www.ozuwashi.net/

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