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日本画の制作工程を分かりやすく解説します、私の好きな桜の日本画について。

ABOUT US
Uraraka
日本では多摩美術大学で日本画を学び、日本画の世界へ進みます。が日本画の伝統的な技法や画壇の体制に疑問を感じ日本からフランスへ移住します。 以後10年以上、フランスで作家活動を続けてきました。 ここで日本のアートを魅せたい、日本画の美しい岩絵具や和紙を使った侘び寂びなアートをフランス人に紹介しています。

今日は最近私が、出会った桜のモチーフの日本画と
その描き方を紹介します。

山種美術館に行った時に、発見した日本画家
橋本明治という作家は、この展覧会のチラシの一枚
に使われていた人で、他にも目を引く作品は、
沢山あったのですが、桜の木の全体を入れている
迫力のある構図が印象的で、結局私の一番はこの作でした。

大雑把ですが、私の考察は、
背景に砂子を引き、花の部分は型紙で作っていそうな
正確な形で、くっきり目の輪郭線、でもグレーだから
あまり主張しなくて見事。
幾重にも正確に重なっていて、本物みたい。

色数がめっちゃ少なくても、イラストっぽく見えないのは、
画面の中で、ちらほら見える幹や枝の位置がとても自然で
構図を作る時に一番、ここを意識すると絵画的になるのですね。

そして花の部分には一輪ずつ、ピンクのグラデーションが
付いていて丁寧です。これは私にもできるかな、

F4号でこの橋本明治の工程で日本画を描いてみました。

1、 水張りした和紙に墨でグラデーションを作る、
  乾いてから水干の青を塗る。

下書きを作る。
構図は写真などをみて決める。
枝と花のバランスと、背景(空)の開け方。
花びらの形を型紙で作りました。それを5枚バランスよく配置する。
手書きよりも綺麗。

2 1が乾いたら全体に雲母の金色でスパッタリングする、
  砂子ではなくて絵具。
3 それからチャコペーパーを使い下書きをトレースする。
  落ちてしまった金雲母は気にしません、


4 胡粉と墨を混ぜた具墨を沢山作る、
途中なくなって作り直すと濃度が変わってしまうので、多めに。
5 乾いたら、胡粉を作って花びらを塗る、これも皆同じ濃度の物を使ってね。


6 しっかり乾いてから、珊瑚末の百か13番で花の真ん中だけ色を置く、
  乾かないうちに直ぐ、水筆で外へぼかす。


7 枝部分は濃い墨を置いて、水筆で広げていく、
8 最後に蕾や葉などを描いて、終わり。

やっぱり、偉い人の模写(完全に模写ではないんですが)
はとても勉強になりました、絵画って物を見たままではなくて
自分の解釈が入ってないと、つまらないし、むしろそこが
ポイントですよね。
ついつい、具象となると、そのままを重視してしまいがち。

ここでも完全コピーではなくて、私のオリジナルは背景を
グラデかけた所、夜桜風にした所です。砂子も背景のみ。

私は以前から、職人の様な工程で日本画を作りたいと
思っていました。
偶然で発見したり、思いつきで色足したりではなくて、
確固たる段取りで絵を作りたかったです。

当分、私はこの描き方で行きます。

2作目の写真がこちら、

これは背景をグラデにせず、直接下書きを
トレースしてしまったので、背景が寂しく
その為、後から9番くらいの黄色の岩絵具を
塗りました、なので筆跡が残りよく見ると、
美しくないです。
やはり、背景の処理は最初に考えないとダメですね。

私の先生とのレッスンで発見した事

私の先生は、群馬の美術館や、都内の百貨店で個展をする様な
売れっ子の日本画家です。
どうやって出会ったかというと、インスタグラムです。
フランスからも何度もメッセージで画材や、技術の
質疑応答に返答してくださり、とても感謝しています。

前回レッスンで、びっくりしたことがいくつかあります。
それはきちんと制作ノートに、制作の順番を付けている事
でした。絵具の名前も番数もきちんと、
先生にしかわからない、決まりに沿ってメモを取っていました。

また画材のことで、私が今まで使ったことのなかった
チャコペーパーの使い方、カーボン紙とは違って
水で消えるので、線描きしたら消えるのです。

今まで私は黒のカーボン紙を使っていました。
確かにそれは、下地に線が強く残ってしまい、
時にはその後絵具を塗っても、残っているほどです。
それが今では勝手に消える!
そんなことでも、知らなかった私には超発見。

そして、チャコペーパの代わりに、
下地のデッサンの裏面にパルテルを
塗りたくって、トレースすると言う手もある様です。

これも勝手に消えるし、色味が欲しい時にいいですね。

日本画って、この輪郭線結構大事で、
わざと濃く、太く描く人もいれば、
輪郭線の色をどこと合わせるかなども
結構大事なポイントなのです、

今度よ〜く作品見てみてください、アーティストは
緻密に計算しているのです。

日本画は、遠近感のない絵と明治時代には
ヨーロッパ諸国へ、伝えられていました。
それは、漫画の様な輪郭線があったからだと言えます。

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